研究計画書のよろしくない例

例2

例1に比べるとはるかに良くできている。しかしながら、

  • 残念なことに、やはり、参考文献リストは提示されているが、本文中に引用の印がない。これでは、この文章が著者オリジナルなのか、文献から引用されたものか、区別がつかない。「切り貼りした」と判断されてしまう。
  • 研究対象が中国の学生である。やはり、このままでは、中国で研究を進めても問題ないように読まれてしまう。日本に留学する意味がないと判断される。
  • 研究背景と先行研究はまとめて書いた方が良い。短くまとめられるかどうか、も、判断の鍵である。
  • 研究目的が明示的に書かれていないため、推測するしかない。「MOOCモードが学習習慣に対する改善」と「交流が参加者の心理に対する影響」について明らかにするものと仮定すると、
    • 2つの目的を達成するために、研究方法がどう対応しているのか読みにくい。
    • 安易にオンライン上のアンケート調査をする、と読まれてしまう。
    • 仮にアンケート調査をするとして、どのように分析するのか書かれていない。
    • 書かれていないので、無い物ねだりだが、目的を達成したかどうか、どのような結果になればそう判断できるのか、わからない。

1.研究テーマ
新たなMOOC学習体験がアジア参加者の授業及び学習方式に対する影響
− Courseraの香港中文大学「情報理論」課程を例とする −

2.研究背景
MOOC(Massive Open Online Courses)が2008年に現れ、2012年ブームとなり、インターネットに基づく大衆を対象とする大規模なオープン式課程である。教師と生徒が異なる時空にいる場合、MOOCモードはインターネットを通してほとんどの教学活動を完成できる。E-learningは2000sの初期から盛んになったが、伝統的なLMS(Learning Management System)はWeb 1.0に頼り、つまり長い間に、教師が教える方面だけが重視され、生徒との交流及び生徒の学習体験と方式が無視されている。それと比べて、MOOCはWeb 2.0技術或はソーシャルネットワーキングに基づくものである。Web 2.0はネット使用者の間の交流と創造を重視し、それはcMOOCsのユニコム主義とxMOOCsの行為主義学習理論の実践に可能性を提供する。cMOOCsとxMOOCsの教育理念が異なるが、両方とも交流があり、オープン式の教学舞台を提供することをやってみた。これらのオープン式課程は教師を中心とするLMSの伝統的なモードを変え、新型で有効な学習方法を探索する。この方法は多種多様な学習資源を学習体験とまとめ、各種類の多様化工具(インライン参考、課程ソフトウェア、知識管理、協力と研究)を有効に利用し、また学習者が内容を創造することができ、他人と協力して研究を完成することもできる。
MOOCs運動が最初にマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学、スタンフォード大学などアメリカの有名大学から始め、その後ヨーロッパ、オーストラリアとアジアにも影響を与える。現在MOOCsの主な運行機構は:edX、Coursera、Udacity、Udemy、P2PUとカーンアカデミーである。インライン課程の数量が急速に上昇しているだけではなく、登録ユーザの数量も世界中に急速に増加している。2013年12月まで、Udacityが五つの学科、33種の課程を設置し、ユーザも百万人の規模になった;Courseraには557種の課程が設置され、25種の学科を含め、12種の言語を使っていて、登録生徒は580万人ほど多い;edXが125種の英語で授業を行う課程を設置し、25種の学科に関わり、ユーザは百万人まで達した。

3.研究動機
私は2013年からMOOCに注目するようになり、MOOCの学習にも参加しはじめた。このような学習方式にずっと熱情と好奇心を持ち、これはきっと現代高等教育に深い影響を与えるのを信じている。これについて深く研究し、その利点と欠点を考察し、そしてこの時代の教育の発展趨勢を研究していきたいと思う。
まず、MOOCそのものは低い教育コストを利用して大きな学習群体に知識を普及するものであり、現代化のネット学習に主導的な地位を有し、現在の高等教育の教学モードを瓦解させる可能性が高いと思われる。その大きなユーザデータから見れば、新たな学習体験が大衆を引き付けている。その同時に、携帯ノート、スマートフォンなどのような電子設備とインターネットの普及につれ、時間と空間の制限がだんだん取り除けられ、E-learningは補助性教学手段から主流学習モードに変わり、学習方式を革新し創造する。この方面では考えるべき問題は、現代通信技術と設備の革新が時空限界を取り除くことはどのような学習体験をもたらすか。
また、今のMOOCの発展はまさに勢いよく発展しつつあり、その知名度は数多くのアジア生徒を引き付け、本研究に大量のサンプルを提供する;一方、MOOCにも多くの問題があり、このモードに対する批評もあり、これは批判性の研究に役立つ。そして、MOOCモードは立派な成功を取れるかどうか、MOOCはどのような方式を利用してその学習者を世界の改善者と創造者にならせるか、という問題を明らかにしたいと思う。この問題によって、私の事案研究は学習者の方面、即ち学習方法、コミュニティの交流と相互評価に関するだけではなく、知識方面、心理方面と自我定位も関わる;また、課程設計者を訪問し、どのように有効的に知識を伝え、生徒との交流をどうすればいいかということも含める。該課題は主に二つの問題を含む:1)MOOCモードが学習習慣に対する改善;2)交流が参加者の心理に対する影響。

4、先行研究
現在、研究の要点は:MOOC発展の歴史、学習者又は開発者の能動性、連通主義、行為者ネット理論(Actor Network Theory)、ダメージ、学習者体験、教学方法、技術と成り行きなどを紹介することである。主にアンケート調査、事案研究とデータ分析を利用する。現在の多くの論文は事案に基づき、MOOCが高等教育構造への影響又はMOOCに関する教育理論を討論する。しかし主に学習者だけを研究し、課程創造者或は技術の方面から行われる研究が少ない。また、2011年から2012年までの研究によると、大部分の参加者は北アメリカとヨーロッパの人であり、アジアとアフリカの参加者がかなり少なく、東南アジアの参加者も多くない;しかし現在アジアの状況がずいぶん変わったが、その事案研究は依然としてアメリカとヨーロッパの高等学校の課程に集中されている。例えば、2008年カナダマニトバ大学の初めてのMOOC「連通主義と連通知識(Connectivism and Connective Knowledge)、スタンフォード大学の「人工智能」、フランクフルト大学の「教育課程」など、アジアの課程事案に対する研究がまだ少ない。

5、研究方法
参加者のため、課程設計の理念、コミュニティの交流と相互評価の積極性、交流の過程が参加者の心理に対する影響などはアンケート調査とデータ統計に簡単に表明されない。このため、該課題はアンケートと訪問を結合させる形式を用いる。
まず、文献を探し、MOOCの歴史背景、技術背景と教育理念をまとめる;
それから、電子メールを用いて課程の設計者を訪問する。課程初期:1)課程を開設する初志と教育理念;2)課程設計の合理性と予期効果。課程開放時期:3)最初の課程設計が生徒の反映によって調整される状況;4)線上討論を注目し、答える;5)生徒たちが線上における交流は十分なのか。不十分としたらどう補充するか。課程が終わった後:6)登録率と完成率が設計者の希望とは一致するか;7)MOOCモードに対する新たな認識。
また、オンライン調査を利用してアジア生徒の比例を統計する。それから、何組の学習者を選んで電子メールで訪問する。課程初期:1)MOOCに対する認識と希望;2)登録する動機、課程を完成させる自信。課程開放時期:3)線上討論が学習の積極性に対する影響及びその原因;4)教師と生徒の交流に対する認可程度;5)学習の時間、場所及び利用する設備;6)伝統的な授業方式との異同;7)自分の学習組があるか、定期討論があるか。課程が終わった後:8)課程と授業中自分の表現に対する評判;9)MOOCに対する新たな認識と再び参加する可能性。
それに、ほかの方式を利用して補助材料を集める:1)授業のメモ;2)定期的に課程討論の内容を集め、それを比べて、現象と規律を観察する;4)具体的な需要によって、多方面のオンライン調査或はアンケート調査を作成する。

参考文献:
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[2] 袁莉,斯蒂芬 鲍威尔,马红亮(2013). 大规模开放在线课程的国际现状分析[J]. 开放教育研究,19(3):56-62
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例1